京野アートクリニック高輪

「子宮内膜受容能検査(ERA)」について(医師 橋本朋子)

The endometrial receptivity array for diagnosis and personalized embryo transfer as a treatment for patients with repeated implantation failure

(反復着床不全患者に対する診断と治療:子宮内膜受容能検査ERA)
Maria Ruiz-Alonsoら
Fertility and sterility Vol.100, No.3,2013

 当院では、昨年7月より反復着床不全の方に対し、子宮内膜受容能検査(ERA)を行っております。 形態学的に良好な胚を3回以上移植しても着床に至らない場合、臨床の現場では着床不全(着床障害)を疑います。原因として、子宮筋腫(粘膜下筋腫)、子宮内膜ポリープ、子宮内腔癒着などの子宮内腔病変の他、卵管水腫の存在、胚の染色体異常の発生頻度増加、血栓症(先天性・後天性)などがあげられますが、原因不明のケースも多くあります。その中で、着床ウィンドウ(window of implantation, WOI)のずれ(移植時の子宮内膜が、胚を受け入れる状態になっていない)も、一因として示唆されるようになってきましたが、依然として多くの施設では移植日を個別化することなく、皆等しく、胚の発生段階に合わせた移植日(たとえば初期胚ならday2 or day3、胚盤胞ならday5)が設定されています。一方で、着床ウィンドウと関わりがある遺伝子の発現、発現異常について、非常に多くの研究結果が報告されてきました。著者らのグループは、10年の長きにわたるそれらの研究結果に基づき、自然周期あるいはホルモン補充周期において、特定の遺伝子発現のパターンにより内膜がreceptive(受容能あり)か否かをコンピューターで診断するツール(endometrial receptivity array : ERA)を開発しました。ERAの正確性は子宮内膜組織診を上回り、かつERAの診断結果は同一患者において、初回検査後29-40ヵ月を経過しても再現性があることが示されています。

 この論文は、反復不成功の患者において、着床時期内膜の遺伝子発現の変化が着床ウィンドウのずれを引き起こしているのではないかという仮説に対し、ERAを用いてそれを同定し、治療の選択肢として移植日を個別化する(personalized ET(pET;個別化した(個人に合わせた)胚移植)というコンセプトを試すものです。限られたデータ数ではありますが、当院においても著者らの結果と同様の傾向がみられており、ERAを用いたpETは有用であると考えております。胚のPGS(着床前スクリーニング)とERAを組み合わせることによって、さらなる妊娠率の向上につながると考えられます。

 「本研究の目的は、反復着床不全患者にERAを行い、新たな治療方針としてpersonalized ETを行う事の臨床的意義を実証することである。研究デザインは前方視的多施設介入臨床試験で、大学関連の不妊クリニックおよびプライベートクリニックを受診した85名の反復着床不全患者と25名のコントロール患者(移植既往0-1回)が研究対象となった。方法は、(移植相当日の)内膜組織を採取し、ERAで解析、内膜の状態をreceptive(R;受容能あり)かnon receptive(NR;受容能なし)と判定した。その結果を踏まえてpETを行い、妊娠率、着床率を検討した。

ERAの結果、反復着床不全患者の74.1%、対象群の88%がReceptiveであった。追跡可能であった反復着床不全患者は29名で、それらにpETが施行され、妊娠率51.7%(患者あたり)、着床率33.9%(胎嚢数/移植した胚の数)となった。ERA後6か月を経過しても妊娠率、着床率の低下は認めず、ERA後の妊娠はlocal injury(内膜スクラッチ)によるものではないことが示唆された。

反復着床不全患者の25.9%(22名)(コントロール群では12%(3名))がnon receptiveであり、そのうち15名にERAの再検が施行され、着床ウィンドウ(window of implantation, WOI)のずれを検証した。15名中8名にERA結果に基づく日付にpETが施行され、妊娠率は50%(患者あたり)、着床率は38.5%であった。

反復着床不全患者ではコントロール群と比較して着床ウィンドウのずれがより多く認められ、pETが新たな治療戦略として有効であると考えられる。Non receptiveであった(つまり着床ウィンドウがずれていた)群にpETを行うことで、receptive群と同等の妊娠率、着床率が得られた。」

京野アートクリニック高輪 医師部 橋本 朋子

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